第12回小学館ライトノベル大賞
最終結果発表!!

応募総数1077の中から厳しい審査を勝ち抜いて、今回はこちらの5作品の受賞が決定!! 刊行予定日も発表!! 受賞時から改稿を加え、ますます面白くなった作品陣の登場をお楽しみに!!(ゲスト審査員:川村元気)

ガガガ賞(賞金100万&デビュー確約)

『お前の母ちゃん魔法少女!』 栗ノ原草介
6月19日ごろ発売予定
「俺は絶対ならないからな!」母は元魔法少女、才能アリの息子は全力拒否!? 二代目魔法少女(♂)のアンチ・マジカルコメディ!

ガガガ賞(賞金100万&デビュー確約)

『《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!』未確認飛行オレオ
5月18日ごろ発売予定
気になるあの娘をweb小説家としてプロデュース!? まとめサイト管理人の少年と、作家志望の少女が紡ぐ青春ラブコメ!

優秀賞(賞金50万&デビュー確約)

『グリムの赤い万華鏡』氷桃甘雪
5月18日ごろ発売予定
「赤ずきん」と呼ばれる少女達が、狼の化け物に喰い殺される森。生き残った少女を守り抜けるか!? 戦慄のパニックミステリー!

優秀賞(賞金50万&デビュー確約)

『ピンポンラバー』谷山走太
5月18日ごろ発売予定
かつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星は、卓球エリートが集う学校に入学する。小学生の頃、唯一敗北を喫した少女を捜すために。

審査員特別賞(賞金50万&デビュー確約)

『空飛ぶ卵の右舷砲』喜多信
7月18日ごろ発売予定
樹竜に追われた終末世界。小型ヘリ<静かなる女王号>を操るヤブサメとモズは、東京湾海上都市を訪れる。空を駆り樹竜を狩る近未来SF!

※「ガガガ大賞」は該当作品なし
(敬称略)

ゲスト審査員講評 川村元気

 映画やアニメーションになりそうな作品との出会いを期待しながら読みました。改めて、読んですぐに「映画やアニメになりそう」と思えるものは、実は映像化に向いていないのだと感じました。このシーンどうやって映像化するんだ? こんなキャラクターいままで見たことない! 優れた映画監督やアニメ監督ほど、そういう原作に燃えるものだと思います。その意味では、受賞作はどれもひねりが効いた、企みのある作品だったと思います。欲を言うと、そこからさらに映像の人間たちでは思いつかない“景色”が文章の世界にあることを期待します。文庫化に向けての改稿においてその景色があらわれるのか、次回作なのか。著者の方々の今後に期待しています。

『お前の母ちゃん魔法少女!』は、母親から息子が魔法少女を継ぐのが嫌で、代わりになる後継ぎを探すという設定が興味深く、キャラクターやストーリーどれもバランス良くできていると思いました。文体は独特で好き嫌い分かれるかもしれませんが、コメディが書けることはそれだけで評価に値すると思いました。

『《このラブコメがすごい!!》堂々の三位』は、ライトノベルの作家と、まとめサイトの管理人のラブコメというメタ構造が興味深く、なかばライトノベルについて勉強するような気持ちで読みました。発想の面白さもそうですが、ライトノベル執筆におけるHOW TOがよく研究されていると思いました。ただ肝心のキャラクターやラブストーリーに新鮮味が薄く、途中から何かの指南書を読んでいるような気分にもなりました。このメタ構造の題材だからこそのエンディングが見つかると良いのではないかと思いました。

『グリムの赤い万華鏡』は、赤ずきんをモチーフとしたユニークな作品でした。グリム童話とライトノベルをかけ合わせるアイデアは面白かったのですが、さらに見たこともないストーリー展開やキャラクターも期待してしまったぶん、物足りなさを感じました。

『ピンポンラバー』は、ミックス卓球という題材のチョイスに面白さがあると思いましたが、映画『ミックス。』ですでに描かれてしまったのが残念です。ストーリーも王道青春もので、丁寧に書かれていましたが、それだけにキャラクターになにか独特のクセというか特徴がほしい気がして、そこが惜しい気がしました。

『空飛ぶ卵の右舷砲』は文章力、描写力は頭ひとつ抜けている印象でした。植物のモンスターに人間が駆逐された世界、というアイデアも面白い。ハリウッド映画が好みそうな世界観だと思いました。ただ世界観の面白さに比して、人間側のキャラクター設定がどこかで見たようなところもあり、そこの部分が惜しい気がしました。SF色がかなり強いので、ガガガ文庫としてどのような読者を獲得するのか注目したいと思います。

編集部講評

 第12回小学館ライトノベル大賞・ガガガ文庫部門に多くの作品をご応募いただきまして、ありがとうございました。
前回に引き続きWeb投稿での募集も行い、総数1077本と、今年も1000本を超える応募作数をいただきましたこと、深く感謝いたします。

 今年はゲスト審査員に、川村元気氏を迎え、編集部と川村氏による厳選な審査の結果、ガガガ賞2作、優秀賞2作、審査員特別賞1作の計5作品を決定いたしました。

 受賞した各作品の講評につきましては、川村元気氏の講評に代えさせていただきますが、今年の応募作の傾向は自分の書きたいことをストレートに表現している作品が多かった印象を受けました。Web投稿による募集が開始してから、今回で12回目となる小学館ライトノベル大賞ですが、意欲に満ちた作品が間口の広がりによってジャンルを問わず寄せられていることに、編集部として大変嬉しく思っています。一方で、書きたいことを表現するためにはきちんとした文章、構成、設定が不可欠です。受賞に一歩届かなかった、そんな作品はテーマ選びだけでなく、創作における基礎的な部分を今一度見直すべきだとも感じました。

 今回受賞した5本の作品はいずれも小説としての条件を満たしエンタテーテイメント性に優れたものでした。受賞作には担当編集がつき、推敲と改稿を重ねた上で、新しい作品として5月から順次刊行される予定です。ぜひ発刊を楽しみにしていただきたいと思います。

 また、すでに第13回の募集も始まっており、Web投稿での募集も引き続き行っています。次回はどのような作品が編集部のもとに届くのか、編集部一同楽しみにお待ちしております。


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