第16回小学館ライトノベル大賞
最終結果発表!!

応募総数1419作品の中から厳正な審査の結果、今回は4作品の受賞が決定!! 刊行予定日も発表!!(ゲスト審査員:磯 光雄)

大賞(賞金200万円&デビュー確約)

『わたしはあなたの涙になりたい』 四季大雅
全身が塩に変わって崩れていく奇病“塩化病”。その病で母親を亡くした少年は、ひとりの少女と出会う。これは涙で始まり、涙で終わる物語。

7月20日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『学校一の美少女たちに告白されたけど嬉しくないし正直なところ迷惑でしかない』 憂井ヨシノ
何においてもパッとしない高校生、佐藤零。しかし、 なぜかマウンティング至上主義の学園に入学することに!?

8月18日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『サマータイム・アイスバーグ』 新馬場 新
その恋心だけは、あの夏で凍ったまま――。三浦半島沖に突如現れた真夏の氷山。それが、僕らの運命を変える夏の始まりだった。

7月20日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『どどめの空』 澱介エイド
それは悲劇より産まれ出で、知覚によって形を成し、怪異となって現実を浸食する。これは悲劇を悼み、歪んだ現実を斬り祓い、怪異を滅す者たちの、穢れと祷りの物語。

8月18日ごろ刊行予定

ゲスト審査員講評 磯 光雄(代表作『地球外少年少女』『電脳コイル』)

◆大賞
『わたしはあなたの涙になりたい』
今回私はゲスト審査員ということで大賞を選ぶ立場にないようだが、賞の名前に関係なく、一等賞はこの作品以外にない。 半分読み進めないうちに、審査など忘れてこの作品の虜になった。ピアノ、震災、野球、恋愛、苦手な題材ばかりだったのに、すっかりこの世界の住人になり、吸い込まれるように最後まで読みふけった。ゴールが見えないまま話は進むのに、不思議といつまで経ってもまったく飽きなかった。 読んでいる間、一つだけ不満があった。タイトルがダサい。なんかどこかで聞いたようなタイトルで、ストイックな作風の作者が、この作品の主人公のようになにか読者に媚びた妥協をしたのだろうと思っていた。思っていたのに、ラストまで読んでその意味がわかって泣いた。最後まで読むとこのタイトルしか無かった。美しい物語をありがとう。審査なんかとんでもない。素晴らしい作品が世に出る瞬間にいち早く立ち会えて幸せです。これからも小説をたくさん書いてください。

◆優秀賞
『学校一の美少女たちに告白されたけど嬉しくないし正直なところ迷惑でしかない』
これぞラノベ、という需要を満たさんとする意欲に満ちた作品。スクールカーストをマウンティングというツールとゲーミフィケーションで異化しようとする試みは評価される予感がするが、おじさんを振り落とすドタバタが盛りだくさんで振り落とされた。

◆優秀賞
『サマータイム・アイスバーグ』
風景描写と透明感が秀でており、舞台の三浦海岸のイメージも後押しして、不思議な世界観を楽しめた。キャラクター、展開ともにやりたいことが多いのか、整理しきれていない印象だが、自分のスタイルを信じて、より一層の高みを目指し精進してほしい。

◆優秀賞
『どどめの空』
題材が好みなのでまっさきに読んだ作品。読者を驚かせ楽しませようという情熱に溢れ、終始意外な展開に引きずり回された。荒唐無稽な登場人物の能力と同じく、作者も溢れ出るアイデアを制御しきれずに、読者の手に余る物量になっているのが惜しい所だが、ドロリとした濃密な世界観や、ビジュアルを備えたキャラクター作り、そして大掛かりなどんでん返しの意外性など、多くの将来性を感じた。今後もより一層の研鑽を期待。

編集部講評

第16回小学館ライトノベル大賞・ガガガ文庫部門に多くの作品をご応募いただきまして、ありがとうございました。
Web投稿での募集と合わせて総数1419本と、今年もたくさんの応募作数をいただきましたこと、深く感謝いたします。

今年はゲスト審査員に、アニメ監督として第一線で活躍されている磯光雄氏を迎え、編集部との厳正なる審査を行いました。
その結果、ゲスト審査員、編集部ともに満場一致で大賞1作品が決定。それに準じて、優秀賞3作品が選ばれました。

受賞作の講評につきましては、磯光雄監督の講評にかえさせて頂きますが、今年は応募総数が過去最多となり、5年ぶりの大賞受賞作が誕生した実りある年となりました。
しかしその反面、受賞を逃した作品は既存のキャラクタ―やストーリーの組み合わせを変えてただけのような作品が多く、どこか既視感を覚えたり個性に欠けた内容だったように思います。

「型にはめる」というのは、ストーリーを作る上で決して悪いことではありません。いわゆる「王道」や「お約束」と呼ばれる型にはまった展開は、言い換えれば「どんな読者でも楽しみやすい展開」ということです。話の基盤として利用して、上手く機能すればストーリーの魅力や、わかりやすさを引き立ててくれるものとなります。
しかし、数多のライトノベルが出版される昨今、ただテンプレを寄せ集めただけの話では埋没してしまいます。そこで必要となるのは作品の個性です。何か1点でもいいので、既存の作品にはない新しい要素や、見たこともないキャラクターなどが書かれていれば、それは作品の個性となり、読者がその話を読む価値となり得るのです。
自分が書きたいものだけを書いて世間に認められることはほぼありません。しかし、客観的な視点や、商業的観点から作品を見つめ、ストーリーを研ぎ澄ましていくことで読者の心に刺さり得る作品に近付けることは可能です。自分の文章、ストーリー、キャラクターと今一度向き合い、あなたにしか作れない唯一無二の作品を引っさげて次回も応募してきてくれることを心より願っています。

そして、今回受賞した作品4本は、これから担当編集と組み、改稿を経て、7月から順次刊行される予定です。ぜひ発刊を楽しみにして頂きたいと思います。


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