第18回小学館ライトノベル大賞
最終結果発表!!

応募総数1178作品の中から厳正な審査の結果、今回は5作品の受賞が決定!! 受賞作(大賞、優秀賞)は2024年7月、8月ごろ刊行予定です!(ゲスト審査員:宇佐義大)

大賞(賞金200万円&デビュー確約)

『夏に溺れる』青葉 寄
「母さんを殺してきた」――凛に殺人の告白をした光は、彼女を道連れに逃避行に出る。18歳の夏が終わる。

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『砂漠海賊レイメイ様の逆ハー冒険航海日誌!(予定っ!)』中島リュウ(応募時のペンネーム/N)
空に七つの異世界が現れ、砂海に閉ざされた世界。冒険と伴侶を求める女海賊レイメイの大航海記!

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『嫉妬探偵の蛇谷さん』野中春樹
「本当、妬ましいわね……」怖ろしいほど美人なのに行動原理が全て「嫉妬」の蛇谷さんと僕の学園青春"探偵"物語。

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『星を紡ぐエライザ』篠谷 巧
「俺たちは、宇宙飛行士の白骨死体を発見した」高校最後の夏、久しぶりに集まった幼馴染み四人は、不思議な事件に巻き込まれる。

スーパーヒーローコミックス原作賞(賞金30万円&コミック化確約)

(てれびくん編集部主催)
『デウス・エクス・マギア ~大いなる幼女とデスメタる山田~』猫文字隼人
威厳のない容姿に悩む幼女魔王が、自身の代役として異世界から召喚したのは、デスメタルを愛する男で!?

ゲスト審査員講評 宇佐義大

プロデューサーとして作品に感じる魅力と、ライトノベルや読み物としての面白さや価値は必ずしもイコールではないですし、専門でない媒体の審査に関わるのはなかなか気が引けましたが、まだ世に出ていない情熱に溢れた作品に触れる機会をいただきすごく刺激を受けました。
 
『夏に溺れる』は実写映画で見てみたくなるような生々しさを感じる作品で、多少拙さを感じるところもありましたが、型にはまっていない、ライトノベルというジャンルの枠に囚われない作風という部分で頭一つ抜けて印象的でした。編集部側も同様の認識でしたので是非大賞に選出したいと思います。

『砂漠海賊レイメイ様の逆ハーレム冒険航海日誌!(予定っ!)』は構成が巧みでキャラクターも立っていて、アクションのシチュエーションやシークエンスが凝っているので、コミカライズに向いた作品だと感じました。作品として突き抜けるにはヒロインの魅力がもう一段階欲しいところです。

『嫉妬探偵の蛇谷さん』はキャラものとしてしっかり書けていると思いますが、売ろうとするならヒロインに限らず登場人物のキャラクター性をもっと際立たせる必要があると感じました。キャラを立てれば話も転がっていくので、まだまだ作品としての魅力を上げる余地があると思います。

『デウス・エクス・マギア ~大いなる幼女とデスメタる山田~』も構成がしっかりしていて楽しめる作品でしたが、異世界や魔王、幼女とありがちな要素が多いので、せっかく題材にしたデスメタルや音楽に関わる部分をもっと掘り下げて欲しかったです。

『星を紡ぐエライザ』は面白そうな要素を並べたのに、調理に際して少し技巧に走り過ぎた印象があり、読者が何に期待してどこに魅力を感じるのかに客観性が必要だと感じました。素材が揃っている分、改稿次第でもっと良くなる可能性があると思います。

どの作品もしっかり書けていて楽しめましたし、改めて受け手はどんな媒体でも魅力的な登場人物、キャラクター同士の関係性、そこから生まれるドラマに惹き込まれていくのだと感じました。その源泉は、やはり作者自身の何かを好きになる力やこだわりにあるのだろうなと。
 
アニメーションという総合芸術においては関わる人の多さ故に描きたいことが薄まってしまうこともありますが、一人で書く文章にはそのデメリットが少なく、描き手が思いっきり好きなことを好きなように描き切れる。今回ゲスト審査員を務めさせていただいたことで、改めてライトノベルという媒体が持つ魅力、想像力を働かせる楽しさや、文章というシンプルな表現だからこそ様々な解釈が生まれる奥行きなどを再認識しながら作品を読むことができました。

そして、1178人ものクリエイターが締切までに作品を書き上げたこともとても素晴らしいことだと感じます。チャレンジして作品を完成させる力というのは、書き手として文章力以上に大切な素養かもしれません。その素養を活かして、世界中に広がっていくような作品の種をたくさん生み出していってもらえるといいなと思います。

応募してくださった皆さま、お疲れ様でした。

編集部講評

第18回小学館ライトノベル大賞は、応募総数1,178作品と、昨年に引き続き1000作品の大台を超える応募作品数となりました。
近年、自らの作品を発表する手段として、多数の新人賞のほか、各種投稿サイトへの発表や、さらには小説としての刊行を経ないコミック化など、さまざまな方法が出現しています。そんな状況下、小学館ライトノベル大賞へ今年もこれほど多数の応募をいただけたということは、大変ありがたいことです。
まずは、ご応募いただきましたみなさまに深く感謝いたします。ありがとうございました。
また、このように多数の応募をいただけたのは、これまでの受賞作、受賞作家のみなさまが得た信頼に拠るものでもあります。これまでの数々の才能との出会いを大変ありがたく感じるとともに、新たな才能を見逃さぬよう、編集部としても真摯に選考を重ねました。

本年はゲスト審査員として、プロデューサーとして『うーさーのその日暮らし』『サイバーパンク エッジランナーズ』をはじめとした数々の作品に携わられ、株式会社グッドスマイルカンパニー取締役、株式会社グッドスマイルフィルム代表取締役副社長、株式会社トリガー代表取締役副社長などの役職も務められている、宇佐義大氏を迎えました。
編集部と宇佐氏との厳正なる審査の結果、大賞1作、それに準じて優秀賞3作、さらに新設されたスーパーヒーローコミックス原作賞(てれびくん編集部主催)1作の計5作品が受賞作として選ばれました。

受賞した各作品についての詳細は宇佐氏の講評にゆずりますが、編集部内の選考過程においては、最終選考に至るまで非常に頭を悩ませました。
文芸作品の趣もあるような題材を扱った硬派な作品から、正当派のライトノベル! と言いたくなるようなポップな作品まで、さまざまな個性が光る作品たちが検討の俎上にあがりました。
結果として、最終選考通過作のラインナップはそのバラエティをそのまま保持した、非常ににぎやかなものとなっています。

今回受賞した5作品は、編集部全員から高い評価を得たのはもちろん、担当する編集に「ぜひ、この作品の個性を世に問うてみたい」という思いを抱かせた魅力のある作品たちです。それぞれの作品が読者のみなさまにどのような評価をいただけるのかはまだ未知数ですが、作品の魅力を極限まで引き出すべく、担当編集とともに推敲・改稿を重ね、刊行してまいります。ぜひ、ご期待ください。


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