小学館ライトノベル大賞
第8回小学館ライトノベル大賞2

最終結果発表!!

応募総数1246本の中かから厳正なる審査の結果、今回は5作品が受賞!! 刊行予定日も決定!!(ゲスト審査員:新房昭之監督)

ガガガ大賞(賞金200万&応募作品での文庫デビュー)

『機械仕掛けのブラッドハウンド』 岩辻 流
5月20日ごろ刊行予定
猟奇殺人が起こる街。銀の鉄槌が下り、朱き戦慄が罪を祓う。繰り広げられるは「指」に魅入られた愚者達の輪舞曲。

優秀賞(賞金50万&デビュー確約)

『行き着く場所』 境田吉孝
5月20日ごろ刊行予定
夏休み、クラスメイトの桜間さんが記憶を失った。“いちおう”恋人であるボクと彼女の、ゼロからの青春が始まる。

優秀賞(賞金50万&デビュー確約)

『LC1961』 伊崎喬助
7月18日ごろ刊行予定
蒸気と神秘が彩る“夢の街”ビザーバーグで危ないやつらが大暴れ!? アメリカン・スチームヘヴン、堂々開幕。

優秀賞(賞金50万&デビュー確約)

『Magicians Mysterion -血みどろ帽子は傀儡と踊る-』 夜森キコリ
7月18日ごろ刊行予定
主人公・シャルルは“ドール”と呼ばれる人形を奪う怪盗だった。そんな彼の下にある日、身に覚えのない予告状が届く。

審査員特別賞(賞金30万&応募作品での文庫デビュー)

『血潮の色に咲く花は』 霧崎 雀
5月20日ごろ刊行予定
妖花に寄生され、花のために生きる人間を『宿主』と呼ぶ世界。そこで織りなされる『宿主』の少女と妖花をかる青年の物語。

(敬称略)

ゲスト審査員講評 新房昭之

 今回、ゲスト審査員として応募作品を読ませていただきました。読む前は非常に時間がかかったり苦労するのでは、と心配していましたが、どの作品も非常に読みやすく文章のレベルも高かったので、楽しんで読むことができました。応募稿のクオリティーの高さには、正直驚かされました。

 「機械仕掛けのブラッドハウンド」は、異能力ものですが、キャラクター、設定共にバランス良く、これはアニメ向きだと思いました。「映像として見せたい」と思わせる作品です。「指」による能力の設定にもオリジナリティを感じますし、シリーズの1巻というような位置づけではありますが、さらなる別の能力はあるのか、主人公と周りの登場人物はこれからどうなっていくのか……、続きが読みたいと感じさせる力がありました。キャラクターや設定は既に面白いので、ミステリーとしての弱さを補強すれば、より作品がしっかりしてくると思います。大賞にふさわしい作品だと思います。

 「血潮の色に咲く花は」は、幻想的な世界観が面白く、体に花を宿すヒロインたち女の子のキャラクターがとにかく魅力的。花を狩る主人公との関係性にもドキドキさせられました。世界観とキャラクターがずば抜けて僕の好みだったこともあり、こちらを審査員特別賞に推させていただきます。しかしながら、主人公のキャラクターとラストにかけてはもっと突き詰めて欲しかった。ラストの落としどころは、そう簡単に結論のでる問題ではないのは分かっていますが、主人公がもっと悩み、葛藤するのか? しっぺ返しを食らうのか……? そこの部分を読んでみたかった。

 「Magician’s Misterion ―血みどろ帽子は傀儡と踊るー」は、コメディタッチのファンタジー。一気にすらすら読めました。設定も面白いしキャラクターも分かりやすく、伏線の張り方も良い。読後感もすっきりしていてエンターテインメントとしてかなり良くまとまっていると思いました。ただ、そのぶん大きな引っかかりがないのも気にかかります。多少荒削りになっても「自分はこれで勝負する!」というようなワガママな部分があっても良かったかもしれません。

 「LC1961」は、サイバーシティもの。導入がうまく、最初の出だしからぐっと引き込まれました。世界観も分かりやすいし、ヒロイン、敵キャラ、次々に面白いキャラクターが出てくる。しかし、やりたいことを詰め込みすぎで群像劇っぽくなってしまって、主人公が誰なのか分からなくなってしまっているのが残念。とはいえ、そのような惜しい部分が気になっても、ついつい引き込まれて読んでしまう個性は素晴らしいので、テーマ、キャラクターを絞って作者が“一番書きたいもの”をしっかり書いて欲しい。

 「行き着く場所」は奇抜な設定の恋愛もの。ファンタジーな要素のない現実的な話にチャレンジした部分と、会話劇が面白く、読みやすい文章だったところが好印象です。ただ、恋愛を扱っているだけに、結末に納得できる・できないの意見も分かれるところ。個人的には、主人公にもっと傷つくリスクを冒し、葛藤し、心をさらけ出してほしかった。改稿に期待します。

 それぞれの作品は、ここからさらに改稿が加わり、より面白さを追求して出版されるとのこと。世に出るのが本当に楽しみな作品ばかりです。
 今回はこのような機会を得て、新しい才能を感じる作品に出会えたことを大変嬉しく思います。ありがとうございました。

編集部講評

 第8回小学館ライトノベル大賞・ガガガ文庫部門に多くの作品をご応募いただきまして、ありがとうございました。
 ガガガ文庫部門には、今年は1246本の作品が集まりました。昨年の応募数から310作品増え、過去最多の応募作品数となりました。ジャンルにも大きなかたよりはなく、バランス良くバラエティに富んだ作品が集まった選考会になりました。

 今年はゲスト審査員に、新房昭之監督(『魔法少女まどか☆マギカ』『化物語』など)を迎え、編集部と監督による厳正な審査の結果、ガガガ大賞1作、優秀賞3作、審査員特別賞1作の計5作品を決定いたしました。
 各作品についての講評に関しては、新房監督の講評にて代えさせていただきますが、応募作の全体的な傾向では、安定した文章力の高い作品が多かったように思います。単純に応募作品が増えたことにより競争率が高くなったためかもしれません。

そして今回は応募者の方々全体のこの応募作でデビューしてやろうという意気込みが、かつてなく強かった年なのではないでしょうか。しかしその中で、受賞までに至る作品との一番のちがいは「面白いものを書こう!」という意図を強く感じさせる作品であるかどうかということにつきるかと思います。
 最後に残った作品には、たとえ未熟な部分が目立っていても、自分の色を出すことを恥じず、突き進もうとする意志が感じられたということです。
 自分の出せる個性を分析し、自分が面白いと思うものは読者も面白いはずだ! だからそれを100パーセント出し切ろう! と自信を持って執筆された作品だからこそ、評価されたのかもしれません。

 今回の受賞作はさらなる推敲と改稿をへて、新しい作品として5月から刊行されていきます。ぜひ発刊を楽しみにしていてください。
 また、すでに第9回の募集も始まっています。 年を追うごとに盛り上がってきている小学館ライトノベル大賞に、次回はどんな作品を応募していただけるのか、編集部一同楽しみにお待ちしております。



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