第17回小学館ライトノベル大賞
最終結果発表!!

応募総数1469作品の中から厳正な審査の結果、今回は5作品の受賞が決定!! 刊行予定日も発表!!(ゲスト審査員:武内 崇)

大賞(賞金200万円&デビュー確約)

『獄門撫子此処ニ在リ』伏見七尾
その乙女、化物を喰らうさだめ――怪異潜む古都の夜を、鬼の身体に人の心を秘めた少女が駆ける、青春怪異譚。

8月18日ごろ刊行予定

審査員特別賞(賞金50万円&デビュー確約)

『かくて謀反の冬は去り』古河絶水
兄王が死んだ。次の王は誰だ? “足曲がりの王子”奇智彦が挑むスペクタクル大河宮廷ロマン!

7月19日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『おやすみ、あの日の変われない花』詠井晴佳
15歳の葛藤と、恋心を込めて作り出したキャラクター『響來』。実在しないはずの彼女が、19歳となったマガリの前に姿を現し――現実と偶像が紡ぐ青春ファンタジー。

7月19日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『悪ノ黙示録』唯野素人
晩年、裏社会の支配者として君臨した男は、異世界をも手中にするため動き出す。転生系ダークファンタジー!

9月19日ごろ刊行予定

優秀賞(賞金50万円&デビュー確約)

『ドスケベ催眠術師の子』桂嶋エイダ
「父がドスケベ催眠術師」というトラウマを抱えるサジのもとに、二代目を名乗る美少女・真友が現れて――? 黒歴史×青春の新境地!!

8月18日ごろ刊行予定

ゲスト審査員講評 武内 崇(代表作:『Fate/stay night』、『月姫』)

◆大賞
『獄門撫子此処ニ在リ』
候補作の中で一番をつけるなら本作となります。編集部との意見も一致したので、大賞受賞となりました。それにふさわしい作品だと思います。美しく個性豊かな登場人物、妖しく蠱惑的な物語と世界設定、数々の魅力的な要素を作者の美意識で一本筋を通し、明暗も薄闇も兼ね備えた見事な作品でした。作品世界の中で「理」を描くことで、怪異や恐怖はただの理不尽な出来事ではなく、独特の美しさ、妖しさが宿るようになります。こういった部分にこそ、作者の価値観、死生観が強く反映されるものだと思います。この作者にしか描くことが出来ない美意識は、この先長く作品を作り続けるうえでも、とても大切な武器になってくれるはずです。物語はやや駆け足ぎみで、作者の背伸びも見え隠れしましたが、むしろそういった部分にとても大きな伸びしろを感じます。物語を通じて描きたいテーマとエンターテインメント性を失わず、最終的に気持ちよく収める手腕もお見事でした。

◆審査員特別賞
『かくて謀反の冬は去り』
世界観設計の完成度が高く、読了後にまだその世界に心が囚われているような強い余韻を残す本格派の作品。深い知恵と知識を駆使し、真摯に物語に向き合う姿勢には、強い感銘を受けました。自分の知っているライトノベルと一線を画していることに驚きました。主人公の青年が望まぬ王位継承の渦中に巻き込まれていく姿を、時に緻密に、時にユーモラスに、架空歴史物語として見事に描き切った上でのエピローグの取りまわしは、ひたすらに爽快でした。作品の魅力と作者の魅力が重なる印象で、この作者の描く次の物語が早く見たい…!と一番強く感じました。癖も強いですが、その分熱狂的なファンが付いて来てくれる作家ではないかと思います。この作品を審査員特別賞としましたが、質が異なるだけで大賞作品と優劣の差はないと思っています。

◆優秀賞
『おやすみ、あの日の変われない花』
情緒が有り、気持ちの良い描写とテンポ感、1P目からスイスイ、ぐいぐいと作品世界に引き込まれました。作品のコアとなっている「居場所」というテーマは、現代的であると同時に普遍的であり、そこに作者の今の気持ちが乗っているような鮮度の高さ、心の解像度の高さが加わって作品に瑞々しさを与えているように感じました。人物描写は素直で、好感を持てます。物語にとって宝ものの一つである憧憬と願いを描き、それをしっかりと読者に共感させる力を持っている作者だと思います。

◆優秀賞
『悪ノ黙示録』
語るべき主題、本作ならではの個性、主人公への興味形成などがやや不明瞭なまま進んでいく物語は、物語というよりも状況説明の印象が強く、結果薄味で冗長に感じられましたが、クライマックスで一転。力強くドラマチック、問答無用で血を沸き立たせる素晴らしい戦闘描写は圧巻でした。ラストの引き、因縁の構築も上手く、鉄板の展開ながらも先が読みたくなります。色気のある戦闘を描けるのは、センスの部分だと思いますので、作劇の技術を上げれば見違えるのではと感じました。冒頭で宣言される「善悪」というテーマは良いと思いますので、ここに作者なりの善悪観・価値観をしっかり込めることが出来ると、作品を支える支柱が強固になってくれると思います。

◆優秀賞
『ドスケベ催眠術師の子』
飛び道具の意識的な活用方法、漫画のようなテンポのよさ、独特でキャッチ―なキャラクター作りなど、読者を楽しませようという意欲や野心が素晴らしいです。キャラの表情や外見も想像しやすく、ライトノベルに求められる高揚感、居心地の良さを感じました。ただ、序盤の破天荒さに比べると、中盤以降の物語展開はやや平坦に感じられました。「ドスケベ催眠術師」という設定は本作最大のネタであり、最大の罪の部分です。そこに向かい合う姿勢は素晴らしいので、あとは読者を納得させるには積み上げをしていく必要があるのではないでしょうか。ネット用語やミームなどの新鮮なネタを多用するセンスの高さは長所だと感じますが、どんな長所でもそのまま短所となりますので、ネタは活かしつつ依存し過ぎないというのが今後の課題の一つかもしれません。

編集部講評

第17回小学館ライトノベル大賞は、紙原稿・WEBサイトからの募集をあわせて応募総数1,469作品と過去最大、1,500本の大台に迫る作品数となりました。
各種小説投稿サイトからの直接応募や多数の新人賞の中から小学館ライトノベル大賞を選び、応募してくださる方がこれほど増加しているというのは大変ありがたいことで、編集部としても審査選考に対し身の引き締まる思いです。ご応募いただきましたみなさまに深く感謝いたします。ありがとうございました。

本年はゲスト審査員として『Fate/stay night』『月姫』をはじめとした作品で知られるイラストレーターであり、『TYPE-MOON』代表でもある武内崇先生を迎えました。
編集部と先生との厳正なる審査の結果、大賞1作、審査員特別賞1作、それに準じて優秀賞3作の計5作品が受賞作として選ばれました。昨年に引き続いて大賞を選出できたことは、本年の応募作品の水準が非常に高かったことをよく表しています。

受賞した各作品については武内先生の講評にゆずりますが、最終選考に至るまでの編集部内の過程について記せば、過去最大の応募総数を数えた作品の中、各選考段階でもそれぞれに完成度の高い作品がしのぎを削りました。最終選考ではその中で、さらに強い個性を併せ持つ作品が勝ち抜け、激突する、一筋縄ではいかない選考となりました。
選出された受賞作品のラインナップと、武内先生の力のこもった講評をご覧いただければ、そのバラエティの豊富さは見て取れると思います。

今回受賞した5作品は、編集部全員をうならせたのはもちろんですが、さらに担当する編集から「この作品をどうしても担当し、世に送り出したい」という執着を引き出した、強い魅力のある作品たちです。これらの作品は担当編集がついて推敲と改稿を重ねたうえで、7月から順次刊行される予定です。ぜひ、ご期待ください。
また最後になりましたが、すでに第18回小学館ライトノベル大賞も募集を開始しております。引き続き新しい才能を発掘すべく、編集部一同で取り組んでまいります。ぜひみなさまの「小学館ライトノベル大賞にこそ出したい」とっておきの作品のご応募をお待ちしております。


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